写真と、カメラと。

写真とカメラと過ごす日々と、旅のこと。

TOKYO 2020

中野正貴さんの写真展「東京」を年頭に拝見した。

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会場は東京都写真美術館改装に入ってからしばらく足が遠のいてしまっていた。以前は個人的に年始の恒例行事として必ず行っていたのに。何年ぶりだかも思い出せないでいる。
東京都の企画で、当然ながらオリンピックTOKYO 2020を意識しての開催であった。

2月に控えた(ていた)スナップ写真のサークルSHUTTER CLUB でもオリンピックTOKYO 2020と東京という街を題材に「Scrap and Build」という写真展を開催することになっていたため観たのだが、やはり20年以上前の都市風景を大型カメラでのフィルムで写したとなればその迫力と、時の流れと重みを実感させられる。
また、フィルム写真自体が大きく引き伸ばされるのを今後頻繁にみられる機会はないだろうなと、鑑賞しながら思っていた。
 
SHUTTER CLUBの写真展が開催される2月下旬より、今回のコロナウイルス感染症の対応策が取られはじめ、ついには、展示会会期2週間のところを1週間でギャラリーが休館となってしまった。メンバーの皆も残念ではあるが、致し方ない事情に肩を落としたと思う。

何よりも、この後にも先にも、会場のリコーイメージングスクエア新宿はリニューアルオープンし、4月より新たにリコーイメージングスクエア東京となって新しいスタートを切ることになっていたからだ。
 
幸いにして、2週間のブランクをもって、3月中旬には展示会も再開できることになり、残りの1週間の会期を皆で取り組んだ。またその後に改めて休館となり、私自身が見たかった他の作家の写真展もこの後見ることができず今日に至っている。
(今5月20日時点での再開はまだ見えていない。)

 

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SHUTTER CLUBの写真展は、当然ながら多くの来場者は見込めなかったが、不幸中の幸いというのか、これもまたリアルな場での展示会は今のところ最期となった。また、ありがたいことに鑑賞いただいた来場者の皆さんからは「レベルの高いスナップ写真である」とお話をいただけて、メンバーも励みになったことだと思う。

そして、4月にはオリンピックTOKYO 2020の開催は中止・延期となった。

以前より中野正貴さんの〝誰もいない東京〟『TOKYO NOBODY』の写真が好きで20年ぶりというかなりの時間を経て鑑賞となったが、そのような光景が事実上、日本にも現れた。

f:id:kkrg-kawloon:20200520230034j:plainいや、世界中に。

鑑賞をした後にこれらの出来事に遭遇し少しばかり驚愕した。

そしてスナップ写真、いや写真の在り方がこれから更に問われ、どう使われ、消費されていくものになるのか。頭の片隅をよぎる。
マイナス面ばかりではなく、日常の中での存在、どう役立っていくのかも含めて大きく価値が変わると思っている。

経済活動がままならず、数日前に東北のある写真専門店が自己破産をしたニュースが届く。

デジタルデータのままでなく、銀塩プリントで残すことのできるチャンスというのも今なのかもしれない。
それだけ大いなる変化が問われると思う。
そういう局面であるといってもいいだろう。

間もなく東京も非常事態宣言が明けると信じたい今日この頃である。