本当は海が見たかったのだけど、体力的にしんどかったのと、人からの勧めもあって足を運んだ東京大学本郷キャンパス。
この界隈 実は子どもの頃から馴染み深い。
小学校低学年の時に一時期文京区にも住んでいたし、父は秋葉原で仕事をしていたこともあって御茶ノ水、水道橋まで歩く機会も度々あった。
昌平橋、ニコライ堂、聖橋、子どもには少々退屈な外堀通りの眺めだったが、今振り返れば良いものを見せてもらえてたんだと感じる。
中仙道に反れるので東大に直接入った事はなかったが、その後中学生時代になってからは今の実家のある北区滝野川から自転車圏になった。上野にも行ったことが何度か。それでも東大は前を通過するのみ。
やがて地下鉄南北線も通るようになる。
大学自体通ったことがないのでキャンパスへ足を踏み入れるなんて考えが及ばない。ましてや用もない。
敷地に入ったら怒られるだろうと思っていたし。
なので、初めて何も考えずにキャンパスへお邪魔させてもらった。
敷地に入ると異国情緒が漂っていた。ニューヨークか、ヨーロッパか。
眩しい光を浴びて日本とは思えなかった。
と、思ったら工学部建築学科があることを知り納得した。
そうかと思うと三四郎池は彩り豊かな静かな湖面を携えて、近所の写生を楽しむ人たちの格好の被写体になっていた。
安田講堂は学生運動の舞台となったがそんな暗い歴史は感じさせない。
銀杏並木もこれから金色に輝くのだろう。
ほんの数時間いただけなのに、異空間に癒された。
生活や学問の環境の大切さを感じ、ナイチンゲールの言葉を思い出す。
そして、不真面目でやさぐれた幼い自分を恥じる。
そんな秋の1日だった。
カメラ:RICOH GRⅢ