TRAVEL 55 | 伊豆大島 #2 裏砂漠
島友のおかげでようやく念願叶う。
三原山の中腹には大島桜が咲くが、行く道では止まることが許されない。しかも徒歩などでは無理な道のりだ。夜であれば街灯も何もない真っ暗闇になる。
それが故、美しく咲いているのだろうと感じながら終わりかけの桜をながめていた。
ずっと前から行ってみたかったのは裏砂漠。
月と砂漠ラインを走り、突き当りとなる駐車場に車を止めて歩く。
裏砂漠までの緑に囲まれた山道を歩くだけで気持ちが良い。
この日は新緑が芽吹き輝いていた。
足元が黒い砂(スコリア)に変わるとほどなく裏砂漠。
急に視界が開け、眼下には黒く溶岩の流れた裾野が広がる。
火山から流れ出た溶岩は島を覆っていた。大島の町々は、まさに火山の裾野を囲うように在るといってよい。
目の前に広がる風景に圧巻され思わず声が出てしまう。
遮るものがないどころか、何もないといった方が正しい。
暴風に晒され、体温も奪われる。
展望台に立つと大島は火山の裾野に町があるということを再認識し、自然の上にいる、地球の上にいる。そんなことを実感する。
ここには大雨で溜まる水で湖ができるそうだ。そんなタイミングで見られる時があれば幸運だろう。
「砂漠だと聞いていたが、宇宙だった。」と、SNSに記したが、まさにそんなスケールの大きさと天候に恵まれた時。
こういう場所はなかなか写真では伝えきれない。
いままで来られなかったことを残念に思うほどだった。
地球のチカラ体感してもらいたい。
地図に示された砂漠は日本ではここだけなのである。
使用カメラ:最後の一枚PENTAX KP/それ以外は GRIII