写真展を見る|企画写真展 GELATIN SILVER SESSION
最近、なにかのついでコトになってしまった写真展を見に行くという行為。
わざわざ足を運んでということができないでいますが、久しぶりに足を運んで見に行ったのでご紹介します。(会期はすでに終了しています)
FUJIFILM SQUARE企画写真展 GELATIN SILVER SESSION
ああ、あれね。と思う方も少なくないと思いますが、今回は企画展という形だったのでどんな感じに会場がまとまるのか、仕上がるのかということも興味の一つでした。
今回は13回目 毎回の図録やポスターデザインもカッコいいのでこのあたりも見ておくのがおススメ。
復活したモノクロフィルム FUJIFILM ネオパン100 ACROSを使って撮り下ろした39名の作家による作品は、それぞれが手間をかけて暗室作業でプリントを仕上げた作品。
知る作家さんたちの日頃見られない被写体も面白く、また、その被写体でそんな焼き方するんだな、と感慨深かった。
デジタル(明室)では表現しにくい、質感の奥深さ、柔らかさ(特に丸みと言えばいいかな)といった表現域は画面やインクジェットプリントで見るものとはとまったく比較対象にならないほどです。
(もちろん、デジタルになり表現できる素材や幅が広がったことは大歓迎ですし楽しいものです。)
この柱周りに展示された一枚の写真(フィルム原版)から作家が各々に仕上げた作品イメージの違いがとても面白く、会場で作品を見ながら「自分ならどんな風にプリントするだろうか」、「階調やコントラストをどんな感じに仕上げるか」など考えてみたりしながら拝見。
それぞれが銀塩写真、プリントの面白さだなと改めて感じた展示会でした。
「フィルム写真好き」と自称する、特に若年層といわれるデジタルネイティブ世代ならこういう写真展はぜひ見ていただきたい。「見る目を養う」ことも写真への造詣に必要なことです。
押し付けではなく、失われつつあるフイルムや機材、印画紙などを次の世代へ繋いでいくためにもプリントで表現するということを知る機会でもあり、その手間暇をかけて仕上がるプロセスも作品を産出すために必要だということ。
今、デジタルで写真が楽しめている背景もこうした歩みがあったからです。
写真は自分の目でみることで体験できる。
このGSSのように実際に銀塩写真を体験してきた作家さんたちや企業が現存するうちにどんどん機会に触れてもらいたい。
プリントの現場にいてフィルムを愛用してきた者としていろんなことを感じさせてもらった展示会でした。